良質睡眠について
睡眠の12か条
第 1 条.良い睡眠で、からだもこころも健康に。
・良い睡眠で、からだの健康づくり
・良い睡眠で、こころの健康づくり
・良い睡眠で、事故防止
睡眠には、心身の疲労を回復する働きがあります。
このため睡眠が量的に不足したり、質的に悪化したりすると健康上の問題や生活への支障が生じてきます。
睡眠時間の不足や睡眠の質の悪化は、生活習慣病のリスクにつながることがわかってきました。
第 2 条.適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。
・定期的な運動や規則正しい食生活は良い睡眠をもたらす朝食はからだとこころのめざめに重要
・睡眠薬代わりの寝酒は睡眠を悪くする
・就寝前の喫煙やカフェイン摂取を避ける
適度な運動を習慣づけることは、入眠を促進し、中途覚醒を減らすことにもつながります。
また、しっかりと朝食をとることは朝の目覚めを促します。
これらの生活習慣によって、睡眠と覚醒のリズムにメリハリをつけることができます。
一方で、就寝直前の激しい運動や夜食の摂取は、入眠を妨げることから注意が必要です。
第 3 条.良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。
・睡眠不足や不眠は生活習慣病の危険を高める睡眠時無呼吸は生活習慣病の原因になる
肥満は睡眠時無呼吸のもと睡眠時間が不足している人や不眠がある人では、生活習慣病になる危険性が高いことが
わかってきました。
睡眠不足や不眠を解決することで、生活習慣病の発症を予防できるとされています。
睡眠時に息の通りが悪くなって呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群は、治療しないでおくと高血圧、糖尿病、ひいては不整脈、脳卒中、虚血性心疾患、歯周疾患などの危険性を高めます。
第 4 条.睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。
眠れない、睡眠による休養感が得られない場合、こころの SOS の場合あり睡眠による休養感がなく、日中もつらい場合、うつ病の可能性も寝つけない、熟睡感がない、早朝に目が覚めてしまう、疲れていても眠れない等の不眠症状は、こころの病の症状として現れることがあります。
特に、眠っても心身の回復感がなく、気持ちが重たく、物事への関心がなくなり、好きだったことが楽しめないといった
ことが続く場合には、うつ病の可能性があります。
第 5 条.年齢や季節に応じて、ひるまの眠気で困らない程度の睡眠を。
・必要な睡眠時間は人それぞれ
・睡眠時間は加齢で徐々に短縮、年をとると朝型化 男性でより顕著
・日中の眠気で困らない程度の自然な睡眠が一番
日本の成人の睡眠時間は 6 時間以上 8 時間未満の人がおよそ 6 割を占め、これが標準的な睡眠時間と考えられます。
睡眠時間は、日の長い季節では短くなり、日の短い季節では長くなるといった変化を示します。
第 6 条.良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。
自分にあったリラックス法が眠りへの心身の準備となる。
自分の睡眠に適した環境づくり。
習慣としている自分の就寝時刻が近づくと、脳は目覚めた状態から徐々にリラックスした状態に移り、やがて、睡眠に入っていきます。
スムーズに眠りへ移行するには、このような、就寝前の脳の変化を妨げないように、自分にあったリラックスの方法を工夫することが大切です。
例えば、入浴は、ぬるめと感じる湯温で適度な時間、ゆったりとするとよいでしょう。
第 7 条.若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。
子どもには規則正しい生活を。
休日に遅くまで寝床で過ごすと夜型化を促進。
朝目が覚めたら日光を取り入れる。
夜更かしは睡眠を悪くする。
思春期になると、子どもたちは夜更かしをするようになります。
思春期から青年期にかけては睡眠の時間帯が遅れやすい時期ですが、さらに通学時間が長いことなどにより、こ
うした傾向が助長されます。
第 8 条.勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。
・日中の眠気が睡眠不足のサイン。
・睡眠不足は結果的に仕事の能率を低下させる。
・睡眠不足が蓄積すると回復に時間がかかる。
・午後の短い昼寝で眠気をやり過ごし能率改善
必要な睡眠時間は、個人によって大きく異なり、また、年齢によっても変わります。
一人ひとりが、自分に必要な睡眠時間を知ることが大切です。
自分の睡眠時間が足りているかどうかを知るためには、日中の眠気の程度に注意するとよいでしょう。
日中の仕事や活動に支障をきたす程度の眠気でなければ、普段の睡眠時間は足りていると考えられます。
第 9 条.熟年世代は朝晩メリハリ、ひるまに適度な運動で良い睡眠。
・寝床で長く過ごしすぎると熟睡感が減る
・年齢にあった睡眠時間を大きく超えない習慣を
・適度な運動は睡眠を促進
健康に資する睡眠時間や睡眠パターンは、年齢によって大きく異なります。
高齢になると、若年期と比べて必要な睡眠時間が短くなります。具体的には、20 歳代に比べて、65 歳
では必要な睡眠時間が約 1 時間少なくなると考えられています。
したがって、年齢相応の適切な睡眠時間を目標に、就寝時刻と起床時刻を見直し、寝床で過ごす時間を、適正化す
ることが大切です。
長い時間眠ろうと、寝床で過ごす時間を必要以上に長くすると、かえって睡眠が浅くなり、夜中に目覚めやすくなり、結果として熟睡感が得られません。
適切な睡眠時間を確保できているかを評価する上では、日中しっかり目覚めて過ごせているかも一つの目安になります。
第 10 条.眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。
・眠たくなってから寝床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
・眠ろうとする意気込みが頭を冴えさせ寝つきを悪くする
・眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
寝つける時刻は季節や日中の身体活動量などにより変化し、一年を通じて毎日同じ時刻に寝つくことが自然なわけではありません。就寝する 2〜3 時間前の時間帯は一日の中で最も寝つきにくい時間帯です。
不眠を経験すると、心配になって早くから寝床に就こうとしがちですが、意図的に早く寝床に就くと、かえって寝つきが悪くなります。
就床時刻はあくまで目安であり、その日の眠気に応じて「眠くなってから寝床に就く」ことがスムーズな入眠への近道です。
第 11 条.いつもと違う睡眠には、要注意。
・睡眠中の激しいいびき・呼吸停止、手足のぴくつき・むずむず感や歯ぎしりは要注意
・眠っても日中の眠気や居眠りで困っている場合は専門家に相談
睡眠中の心身の変化には、専門的な治療を要する病気が隠れていることがあるため、注意が必要です。睡眠中の激しいいびきは、喉のところで呼吸中の空気の流れが悪くなっていることを示すサインであり、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠中の呼吸に関連した病気の可能性があり注意が必要です。
睡眠時無呼吸症候群は、適切な治療を受けることで症状が改善し、高血圧や脳卒中の危険性が減ることも示されています。
このため、睡眠時無呼吸症候群の予防と早期発見が重要です。
また、就寝時の足のむずむず感や熱感はストレスレッグス症候群、睡眠中の手足のぴくつきは周期性四肢運動障害の可能性があります。これらの病気があると、一定時間眠っても休息感が得られず、日中に異常な眠気をもたらすことがあります。
さらに、睡眠中の歯ぎしりがある人は顎関節の異常や頭痛を持つことが多いことが示されています。
いずれも医師や歯科医師に早めに相談することが大切です。
第 12 条.眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。
・専門家に相談することが第一歩
・薬剤は専門家の指示で使用
寝つけない、熟睡感がない、十分に眠っても日中の眠気が強いことが続くなど、睡眠に問題が生じて、日中の生活に悪い影響があり、自らの工夫だけでは改善しないと感じた時には、早めに専門家に相談することが重要です。例えば、ひとり夜眠れないでいることはつらいだけでなく、孤独感を感じるものです。そのつらさは家族にもなかなかわかってもらえないことがあります。そのため、相談できる人を持つことは大きな助けとなります。
苦しみをわかってもらうだけでも気持ちが楽になり、さらに、睡眠習慣についての助言を受けることで睡眠が改善する手立てをみつけることができる可能性があります。
また、よく眠れない、あるいは日中眠たくて仕方ないなどと感じたら、それは「からだやこころの病」の兆候かもしれません。身近な専門家(医師、保健師、看護師、助産師、薬剤師、歯科医師、管理栄養士、栄養士など)に相談することが大切です。
(厚生労働省/2014年3月25日)
「健康づくりのための睡眠指針2014 ~睡眠12箇条~」より
睡眠薬について
睡眠導入剤処方箋通りに服用されていますか?
睡眠薬を常用されている方が多いとお聞きします。大切なことは処方量を守りましょう。
勝手に増やしても効き目がない場合が多く、副作用は確実に増えます。
1.飲む薬の量、飲む時間、飲む期間は、医師の指示に従いましょう
効かないからと、自己判断で量を増やす。
夜中に目が覚めたからと、もう一度飲む。
依存するのではないかと思って、急に断薬する。
よく似た症状だからと、人からもらったり、あげたりする。
よく耳にする行動ですが、思わない副作用を招く事がありますので、【処方薬】については、必ず指示に従いましょう。
2.眠る用意が出来てから、飲みましょう
一般に錠剤型の内服薬は、飲んでから効果が現れるまでに30分ほどかかります。
しかし、この時間に入浴したり、作業をしないようにしましょう。
思わぬふらつきで、危険な場合があります。
また、薬が効いている間の記憶が、一時的に残っていないことがあります。
眠るための準備を済ませてから、薬を飲むようにしましょう。
3.効きすぎたら、医師や薬剤師に相談しましょう
ふらついたり、身体がだるいなど、翌日も薬の作用が残っている時は、作用時間の長さが異なるものに替えるなど、
適切な対策を相談しましょう。
特に、中枢系に働く薬は、効き目に個人差、人種差が大きく、標準量で効きすぎる時があります。
他に治療薬を飲んでいる場合
必ず、何を飲んでいるか、医師や薬剤師に話しましょう。
同様の作用を持つ薬の併用は、効きすぎにつながります。
また、薬によっては、不眠を引き起こすものがあるので、副作用による不眠でないかを知るためにも、大切なことです。
良い眠りとは眠る力と目覚めの力のバランスが保たれていること。
様々な状況で目覚めようとする力が大きい時は、処方されたお薬では効かないことも。
反対に、ふらついたり、めまいを起こしたりのような副作用が現れてしまいます。
夜中におトイレに起きて、ふらついて転倒してしまっては大変。
そしてお薬を飲んでいる方の悩みは、お薬を飲むことへの罪悪感があるように感じます。
罪悪感を持って飲むのは、ご自分の気持ちに負担をかけているよう。
眠れなくて仕事に支障が出るようなら、きちんと処方をまもって眠りにつきましょう。
大切なのは生活リズムを整えること。
ロボットのような生活は難しいですが、出来るだけ決まった時間に目覚め、食事を摂る。
昼間の眠気覚ましに、カフェインを摂りすぎない。
すこしづつ出来る事から取り組んでみましょう。
睡眠薬とアルコールとの併用
アルコールと一緒に飲まないでください。
薬の作用を強めるので、場合によっては命にかかわることがあります。
若者の間や、常用者の中には、興味半分で、同時に飲んだりすることがあるようですが、重大な事故になりますので、絶対に併用はしないでください。
グレープフルーツ
グレープフルーツやジュース類は、薬の代謝酵素に関わることで、
BZ系薬剤の効果に影響します。
(他にも影響を受ける薬が沢山あります)
習慣として食べている方は、医師や薬剤師に伝えましょう。
健康食品について
ドラッグストアやコンビニ、テレビショッピングやインターネットなどで、沢山の【健康食品】が販売されています。
様々な情報があふれていますので、【健康食品】を上手に利用するために、気をつけていただきたい事柄をあげます。
1)基本は、バランスのとれた食生活を送るようにすること。
2)【健康食品】は、あくまでも食生活の補助的な働きをするもので食事の代わりにはなりません。
3)病気を治すものではないと意識すること。
4)すべての人に効果が期待できるわけでないので、体験談を聞いても、過大な期待はしないこと。
5)治療を受けている場合は、【健康食品】を新たに利用する場合には、必ず医師や薬剤師に相談すること。【薬】との相互作用が様々知られています。勝手な断薬は、思わない副作用や、反動を生むことにもなりますので、ご注意ください。
6)日常的に摂っている【健康食品】がある場合は、【薬】を処方されたり、購入する際には、必ず相互作用がないか確かめるために、医師や薬剤師に話しましょう。
7)【健康食品】による栄養成分の摂り過ぎによる健康被害が多数報告されていますので、目安の量を超えないこと、よく似た【健康食品】を重ねて食べないようにしましょう。
8)【健康食品】を利用していて、体調に異常を感じた時には、直ぐに医療機関に相談しましょう。
9)最後は、利用者自身が、安全な利用を心がけること
以上よろしくお願いたします。